ISOの種類一覧|中小企業に関係する3つの規格と選び方を解説

「ISOって種類がたくさんあるみたいだけど、うちはどれを取ればいいの?」

調べ始めると、ISO9001・ISO14001・ISO22000と数字が次々に出てきます。

一覧で並べられても、自社に関係するものがどれなのか判断できません。

実際、ここで手が止まる担当者は多いです。

中小企業が実際に関わるISOの種類は、ISO9001・ISO14001・ISO27001の3つにほぼ絞られます。

審査をする会社を認める立場のJAB(日本適合性認定協会)の集計では、国内の認証件数78,880件のうち約88%がこの3規格です。

ここでは、数ある規格を網羅するのではなく、中小企業に関係する種類だけに絞って整理します。

本記事でわかること
  • ISOの種類が大きく2つに分かれること
  • ISO規格は約2万6千件あるが、認証を取れるのはごく一部であること
  • 中小企業が実際に関わるのは3規格だけという事実
  • 業種別に、どの種類が取得されているか
  • 自社に必要な種類を見分ける判断軸

この記事は、JAB(日本適合性認定協会)とJQA(日本品質保証機構)などの公表資料を確認して作成しています。

この記事を書いた人
ISO編集部_いそまる
いそまる
ISOの教科書 編集部

  • ISOの教科書 編集部の案内役
  • 東証プライム上場企業に勤務後、独立
  • 中小企業の担当者向けに、取得・費用・運用をやさしく解説

目次

ISOの種類は「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」の2つ

ISOとは、国際標準化機構(ISO)が定める国際規格のことです。

同じ「ISO」でも、性質がまったく違う2種類あります。

まず大枠の2分類を押さえると、このあとの規格一覧が読み解きやすくなります。

「モノ規格」はネジや非常口マークのような製品の決まり

モノ規格は、世界中で同じものが通用するように、製品の寸法や形を統一した規格です。

身近な例では、非常口の緑のマークやネジの寸法、クレジットカードの大きさが該当します。

「モノ規格」の身近な例。非常口の緑のマーク、ネジの寸法、クレジットカードの大きさ

これらは製品の設計時に参照するものなので、企業が審査を受けて認証を取るという性質のものではありません。

ISOが発行している規格や関連文書は、全部で約2万6千件(2025年末時点)あり、その大半を占めているのがモノ規格です。

モノ規格とマネジメントシステム規格の違い

モノ規格は製品そのものの基準で、設計や製造の際に守る寸法・形状・性能などを定めたものです。

一方のマネジメントシステム規格は組織の運営の仕組みに対する基準で、審査を受けて認証を取得できます。

「ISO認証を取得した」という表現は、後者を指します。

中小企業が関わるのは「マネジメントシステム規格」

企業が「認証を取る」と言うときに指すのは、マネジメントシステム規格です。

JQA(日本品質保証機構)は、マネジメントシステムを「目標を達成するために組織を適切に指揮・管理する『仕組み』のこと」と説明しています。

取引先から「ISOを取っているか」と聞かれる場面で問われているのは、製品ではなく仕組みのほうです。

認証の対象になるのはマネジメントシステム規格なので、この記事で扱う種類もすべてこちらです。

なお、ISO規格は国際的に通用する規格で、JIS規格は日本国内の産業標準です。

マネジメントシステム規格の多くは、ISO9001に対するJIS Q 9001のように、日本語版のJISが発行されています。

審査の現場では日本語のJIS版が使われるので、実務上は同じものと考えて差し支えありません。

いそまる

名前は同じ「ISO」でも、認証を取れるのはマネジメントシステム規格だけです!

ISOの種類は全部で約2万6千件|認証を取れる規格は一部だけ

「何種類あるのか」は、よく聞かれる割に答えが曖昧になりがちです。

総数と選択肢の数が混同されやすいので、実態を整理します。

「規格の総数」と「認証を取れる規格の数」は違う

ISO規格の総数は約2万6千件(2025年末時点)ですが、企業が認証を取得できる規格はそのごく一部です。

ISO規格の絞り込みを示す図。ISO規格の総数から、認証件数が集計されている17分類、さらに中小企業が関わる3規格へと範囲が狭まることを表している
JAB「マネジメントシステム認証件数(2024年12月31日現在)」をもとに作成

一方、JABが国内の認証件数を集計しているのは17の区分で、ISO以外の規格も含まれます。

QMS(品質)・EMS(環境)・ISMS(情報セキュリティ)も、この17区分に入ります。

「ISOの種類が多い」という印象と、認証を取れる規格の数は別の話です。

国内で認証件数が集計されている17区分

国内で認証件数が集計されているのは、次の17区分です。

規格対象
ISO9001品質
ISO14001環境
ISO27001情報セキュリティ
FSSC22000食品安全システム
ISO45001労働安全衛生
ISO22000食品安全
ISO13485医療機器の品質
AS/EN 9100航空宇宙の品質
ISO20000-1ITサービス
ISO39001道路交通安全
JFS-C食品安全(国内規格)
ISO55001資産の管理
JIS Q 45100労働安全衛生(国内規格)
ISO50001エネルギー
TL 9000情報通信の品質
ISO20121イベントの持続可能性
N-RTS道路交通安全(国内規格)
JAB「マネジメントシステム認証件数(2024年12月31日現在)」の数値をもとに作成

並び順は、国内の認証件数が多い順です。

TL 9000やFSSC 22000のように、ISO以外の団体が定めた規格もこの17区分に入っています。

反対に、自動車部品のIATF16949や事業継続のISO22301は、この集計には含まれません。

一覧を端から見るより、上位3つに自社が関係するかを先に確かめるほうが早いです。

いそまる

「何種類ありますか」と聞かれたら、「規格は約2万6千件、中小企業に関係するのは主に3つ」と答えるのがわかりやすいです!

中小企業に関係するISOの種類は実質3つ

数ある規格のうち、現実に名前が挙がるのはごく一部です。

まず件数の実態を見てから、3つの違いを整理します。

ISO9001・ISO14001・ISO27001で国内認証の約9割

国内で取得されているISO認証は、3つの規格に集中しています。

規格対象国内の認証件数
ISO9001品質39,004件
ISO14001環境20,959件
ISO27001情報セキュリティ9,231件
ISO45001労働安全衛生2,524件
ISO22000食品安全1,925件
引用:JAB「マネジメントシステム認証件数(2024年12月31日現在)」

17区分の合計78,880件のうち、上位3規格が約88%にあたる69,194件を占めています。

国内のマネジメントシステム認証件数の棒グラフ。ISO9001が39,004件、ISO14001が20,959件、ISO27001が9,231件で上位3規格が突出している
JAB「マネジメントシステム認証件数(2024年12月31日現在)」をもとに作成

「ISOの種類が多すぎて選べない」という悩みは、実態を知ると解消します。

「品質」・「環境」・「情報」のどれを守るか

3つの規格は構造がほぼ同じで、違うのは何を守る仕組みかという点だけです。

規格守る対象こんな会社が取る
ISO9001製品・サービスの品質製造業、建設業、取引先から求められた会社
ISO14001環境への影響製造業、建設業、入札で加点を狙う会社
ISO27001情報セキュリティIT、受託開発、個人情報を預かる会社

いずれも箇条4から10(規格の中で、会社がやることを定めた章)という共通の骨格を持つため、2つ目以降の取得は負担が下がります。

品質と環境の規格の中身は別記事「ISO9001の要求事項とは?」と「ISO14001とは?」をご覧ください。

いそまる

なかには、3つとも取る会社もあります。
骨格が同じなので、文書や内部監査をまとめて運用できるのがメリットです!

業種別に見た取得されているISOの種類

同じ中小企業でも、業種によって必要な種類は変わります。

自社の業種に近いほうから読み進められます。

製造業・建設業はISO9001とISO14001

製造業と建設業では、ISO9001とISO14001の2つが取得の中心です。

品質の安定を取引先から求められる場面が多く、公共工事の入札では環境認証が加点対象になる自治体もあります。

建設業の場合、元請けから提出を求められて取得に動くケースが入口になりやすいところです。

2業種のなかには、2つを同時に取得し、品質と環境の仕組みをまとめて運用している会社も見られます。

つまり、この2業種ではISO9001から入り、必要に応じてISO14001を足す順番が一般的です。

IT・サービス業はISO27001

IT企業や受託開発の会社では、ISO27001が取得の中心になります。

顧客から預かるデータを扱う以上、情報セキュリティの体制を対外的に示す必要があります。

発注元のセキュリティチェックシートで認証の有無を問われ、取得に至る流れが典型的です。

個人情報を多く扱う場合は、国内制度のプライバシーマークと比較検討する会社もあります。

ISO27001の中身は、別記事「ISMS・ISO27001とは?認証の仕組みと基本を解説」をご覧ください。

特定の業種で求められる規格

次の4つは、特定の業種や製品を扱う会社に限って必要です。

規格対象関係する業種
ISO45001労働安全衛生製造業、建設業、運送業
ISO22000食品安全食品製造、飲食、小売
ISO13485医療機器の品質医療機器メーカー
IATF16949自動車部品の品質自動車部品のサプライヤー

JQA(日本品質保証機構)も、マネジメントシステム規格の例としてこれらを挙げています。

自動車部品のIATF16949のように、業界団体が取引条件として定めている規格もあります。

該当する業種でなければ、名前を知っておく程度で十分です。

いそまる

この章の規格は、該当する会社には必須ですが、そうでなければ検討の必要はありません。

ISOの種類を選ぶときの判断軸

選ぶときの判断軸と、決まったあとの進め方を整理します。

優先順位を間違えると、取らなくてよい規格に費用をかけることになります。

取引先の要求が最優先

選ぶ順番の一番目は、取引先や入札で求められている規格です。

自社の課題感から選ぶより、要求に応えることが取得の目的になっている例がよく挙げられます。

見積依頼書・入札公告・取引先から届くチェックシートに、規格名が書かれていないかを確認します。

要求がないのに「信頼性の向上」だけを理由に取得すると、費用と工数に見合わない結果になりかねません。

ISO認証は取得後も、毎年の審査費用と社内工数もかかってきます。

費用の目安は、別記事「ISO取得費用はいくら?規格別の相場・審査費用・維持費を解説」をご覧ください。

出発点は、誰から何を求められているかをはっきりさせることです。

複数規格の同時取得という選択肢

2つ以上の規格を取る予定があるなら、同時に進めるほうが負担は小さいです。

マネジメントシステム規格は箇条4から10までの骨格が共通しており、文書や内部監査を共通化できます。

また、審査も同時に受けられるため、別々に取得するより費用と工数を抑えられる場合があります。

ただし、最初の1つで仕組みが固まっていない段階で2つ目を足すと、どちらも中途半端になるため注意が必要です。

同時取得するかどうかは、社内に回せる人がいるかで決まります。

\相談は無料/

どの規格が必要か分からない段階でも、専門家に相談して整理できます。

ISOの種類が決まったら取得の流れを確認する

規格が決まったら、次は取得までの流れを確認します。

大まかには、文書づくり → 内部監査 → 審査の順に進みます。

どの規格でも大枠は共通しているため、1つ分の流れを知っておけば応用が利きます。

ISO9001なら別記事「【初心者でも安心】ISO9001の取得の流れ・手順の基礎を解説」、ISMSなら別記事「ISMS取得の流れを10ステップで解説|期間・難易度・必要書類」をご覧ください。

種類が決まった時点で、流れの記事に進むと準備の全体像がつかめます。

いそまる

流れを先に知っておくと、社内に説明するときに話が早いです!

ISOの種類に関するよくある質問

ISOの種類に関するよくある質問をまとめました。

ISO規格は全部で何種類ありますか?

ISO規格は全部で約2万6千件(2025年末時点)あり、その大半は製品の寸法などを定めたモノ規格です。

企業が認証を取得できるマネジメントシステム規格に限ると、国内で件数が集計されているのは17区分です。

ISO規格とJIS規格の違いは何ですか?

ISOは国際規格、JISは日本の産業標準です。

マネジメントシステム規格の多くは、ISO規格を日本語化したJIS規格が発行されています。ISO9001に対するJIS Q 9001のように対応しています。

中小企業はどのISOから取るべきですか?

取引先から名指しで求められている規格があれば、それが最優先です。

名指しがなければ、製造業や建設業はISO9001、IT・受託開発はISO27001から検討するのが一般的な流れになります。

複数のISO規格を同時に取得できますか?

できます。

マネジメントシステム規格は骨格が共通しているため、文書や内部監査を共通化し、審査も同時に受けられます。ただし社内に回せる人員があることが前提です。

ISO認証を取らずに規格だけ使うことはできますか?

できます。

規格を購入して仕組みづくりの参考にするだけなら、審査を受ける必要はありません。取引先への証明が不要であれば、認証を取らない運用も選択肢になります。

ISO規格の中身はどこで読めますか?

JIS規格は、JISC(日本産業標準調査会)のサイトで無料で閲覧できます(登録制・閲覧のみ)。

ISOとISO認証は何が違いますか?

ISOは規格そのもの、ISO認証は第三者の審査機関がその規格に適合していると証明する制度です。

規格を使うだけなら認証は不要で、対外的に示す必要があるときに認証を取得します。

まとめ:ISOの種類より自社に関係する3つを押さえる

ISOの種類は、製品の決まりであるモノ規格と、組織の仕組みに対するマネジメントシステム規格に分かれます。

企業が認証を取るのは後者で、取引先から問われているのもこちらです。

ここまでの要点を整理します。

本記事のまとめ
  • ISOの種類は、モノ規格とマネジメントシステム規格の2つに分かれる
  • 認証を取れるのは後者で、取引先から問われているのもこちら
  • 中小企業に関係するのはISO9001・ISO14001・ISO27001の3つで、国内認証の約88%を占める
  • 製造業・建設業はISO9001と14001、IT・サービス業はISO27001が中心
  • マネジメントシステム規格は、ISOとその日本語版のJISがほぼ同じ内容で対応している
  • 選ぶ順番は、取引先や入札で求められているものが最優先

一覧を端から眺めるより、取引先に何を求められているかを確認するほうが早く決まります。

求められている規格がはっきりしたら、その規格の中身を個別に見ていく段階に進めます。

コンサル会社を比べたい場合は、別記事「ISOコンサル会社のおすすめ5選|費用・支援範囲と失敗しない選び方」をご覧ください。

取引先から求められている規格がはっきりしない場合は、専門家に相談する方法もあります。

\相談は無料/

ISOナビは初期費用0円のプランもあるので、費用が気になる段階でも相談できます。

いそまる

多くの中小企業に関係するのは、この3つです!

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